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年前のことだが、とある本屋のレジで支払いをしていると、カウンター横の棚に「The 25 Best GHOST TOWNS in Texas Map!」というマップが置いてあるのに気付いた。気になって手に取ったら、すかさず店員が「これ面白いよ。俺も好きなんだ」と言う。つられて思わず買ってしまった。 マップの前書きが期待感を否応なしに煽る。いわく「たいていの人にとって何百ものゴーストタウンを訪れる時間などないでしょう。いやゴーストタウンなどひとつも見たことがないという人がほとんどだろうと思います。でも私たちは数百のゴーストタウンを実際に訪れ、そのなかからベスト25を選び出しました」とある。 私の頭の中では、ゴーストタウン=『西部劇映画に出てくるような町並みが今は住む人もなく荒れ果てている、自分以外には誰もいない、キーキーという音に驚いて振り返れば風に揺れる壊れた酒場の扉、朽ちた木造の家、地平まで真っ直ぐに続く道には砂埃が舞い、サボテンの横を枯れ枝が回り転がっていく、、、、』と既に想像と期待が一人歩きしている。
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Sam Houston Drive:将軍が子供のときにIndependenceという田舎町に移り住み洗礼を受けた場所の横を通る田舎道
(3)The Grove |
![]() 以上のようにThe 25 Best GHOST TOWNS in Texasのうちの3箇所しか行けなかったが、結論として「ゴーストタウン」を期待して行けば必ず失望する。それぞれHistorical Landmarkではあろうが、それを目的としてまで行くほどのものとは思えなかった。このマップを薦めた本屋の店員は本当にひとつでも行ったのだろうか、と疑念がわく。 それでも私には面白かった。 何故ならば第一に、地図を片手に示された地点を探しながらドライブすることにはオリエンテーションのような、宝探しの旅のような楽しみがある。第二に、テキサスの田舎道をドライブする機会を与えてくれる。車好きで遠くても飛行機を使わず車で行くという人は多くいるが、こんな目的でもない限り、Interstate Highwayを外れてドライブすることはないのではないか。 Interstate Highwayを外れて、時には道路番号が4桁の道路を走ってみるのは面白い。ほとんどすれ違う車もなく、途中で車が故障したらどうしようというスリルもある。農牧業従事者がヒスパニック系なので看板がすべてスペイン語の田舎町もある。 地図を片手に田舎町をうろうろしていると、すれ違う人は皆、不思議そうな顔をして私を見ている。こんな田舎に何故日本人がいるのだろう、というところか。生まれて初めて日本人を見たのかも知れない。中には向こうから声を掛けてきて、道案内を買って出てくれる人や、町の歴史を誇らしげに語り出す人も居た。Southern hospitalityを感じることができる。 反面、年代物のFordのトラックが南北戦争時の南軍旗を今だに誇らしげにつけて走っていたりする。私達の世代なら映画「イージーライダー」を思い出し、ちゃらちゃらしていたらライフルで撃たれるのではないかとのスリルがある。「Totalでガスを入れるな。やつらはFrenchだ」などと大書きして走っているトラックもある。ある種の南部の危うさも感じることができる。 ゴーストタウンを期待してこのマップを買うと絶対後悔する。しかし何より増して、テキサスらしい本当の田舎の風景、のどかで単純な田舎のドライブを楽しむ機会を与えてくれたという意味では、このマップは大いに価値があったと思う。 ![]() |