テキサス州経済に回復の兆し

2003年上半期の経済動向

− 千葉俊徳 (ジェトロ・ヒューストン・センター) −

 

テキサス州経済は、2003年上半期、緩やかながら回復の兆しを示した。失業率はまだ高い水準にあるが、雇用は増加傾向。エネルギー、ハイテク製造業など主要産業にも明るさが戻ってきた。輸出額でもカリフォルニア州を抜いた2002年に続いて全米1位を維持。一方、州議会では、増税なき財政収支均衡を目指す緊縮志向の予算が成立した。

1 経済動向一般

<雇用は増加傾向>

テキサス州の雇用動向を前年同月比の推移でみると、2002年下半期から増加の兆しが見え始め、2003年上半期には、増加率が1%台後半〜2%台へと上昇。ほぼ全業種で、雇用の減少幅縮小または雇用増加がみられたが、特に、雇用全体の約1割を占める保健・教育サービス部門が人口増加を反映して大きく伸び(約4%増)、これが製造業等の脆弱さの残る部門をカバーした形となった。

一方、2003年上半期の失業率は6.4%〜6.8%の間で推移した。前年同期を0.3〜0.4ポイント上回るとともに、全米失業率との乖離も3月には0.9ポイントに達するなど、依然、比較的高い水準であった。雇用は増加傾向にあったが、全米ペースを上回る人口増加を背景に労働力人口が前年よりもハイペースで増加したことによる。

(以上 表1参照)

 

<エネルギー産業が回復>

エネルギー産業は、2001年下半期に減速した後、停滞が続いていたが、2003年に入り、鉱業の雇用減少に歯止めがかかり、原油等採掘活動も拡大するなど、回復基調に転じた。原油価格がイラク戦争等を織り込んで高騰した上、戦争終結後も大きく下振れせず、イラク産原油の市場への供給減少、天然ガスの在庫減少、今後の景気回復予測なども相まって、価格の先行き下落不安が当面解消されたことが影響した。米石油売上1位エクソンモービル社(アービング市)が、2003年3月期、6月期連続して前年同期比で大幅な増収増益となったのをはじめ、原油高を反映して石油各社は軒並み好業績を記録した。

  

<ハイテク製造業にも明るい兆し>

主要産業の一角を占める半導体、コンピュータ等ハイテク製造業も、世界市場に連動して回復傾向を示した。半導体大手のテキサス・インスツルメンツ社(ダラス市)は、2003年3月期に、前期(2002年12月期)から黒字転換を果たし、アジア向け需要を中心にSARSが影響した6月期も増収増益を確保した。また、6月末にはテキサス州過去最大級の投資となる半導体工場新設計画を発表した。パソコン大手のデル・コンピュータ社(ラウンドロック市)は、順調に世界市場でのシェア拡大を続け、2003年4月期、7月期連続して前年同期比で大幅な増収増益となった。

 

 

<輸出は全米1位を維持>

2003年上半期のテキサス州の輸出額は、最大シェアのメキシコ向けが同国経済の停滞を受けて微減となったものの、経済拡大が進む中国向けの著増や、カナダ、韓国向けの増加などで、前年同期比で3.4%増加し479億200万ドルとなった。全米輸出額に占めるシェアはやや拡大し、カリフォルニア州を抜いた2002年に続き全米1位を維持。主要品目では、有機化学品と鉱物性燃料・石油の伸び率が特に高かった。原油価格高騰に伴う単価上昇が影響したとみられる。

(以上 表2 参照)

  

 

2 日本との関係

<対日輸出は前年同期並>

2003年上半期のテキサス州の対日輸出額は13億7,900万ドルで、日本は依然、北米自由貿易協定(NAFTA)域内国であるメキシコ、カナダに次ぐ位置を占める。ただし、伸び率は州の輸出額全体の伸びに比べやや低調(前年同期比0.0%)で、全米対日輸出額に占めるシェアも縮小した。上位2品目の電気製品、有機化学品が増加した一方、機械、光学・医療機器が減少。電気製品では、例えば、前出デル・コンピュータ社の場合、2003年4月期、7月期とも、日本への製品出荷台数を前年同期比35%程度伸ばした。機械の減少については、「日本と比較して割高の傾向がみられる部品・人件費等のコスト水準が販売価格に波及し、日本での購買減少につながっているのではないか」との見方がある(日系機械メーカー)。

(以上 表2 参照)

 

<日系企業動向>

サンアントニオ市では、日系大手企業の進出、撤退の発表が重なった。2003年2月にトヨタ自動車がサンアントニオ市への新工場建設を発表。 2003年10月中旬に着工の運びで、2006年に稼動開始が予定されている。6月には、サプライヤーへの新規参入に資するよう地元企業に対して調達方針に関する説明会が行われた。 

一方、ソニーは半導体工場を2003年9月に閉鎖することを明らかにした。近年の半導体需要の低迷によるもので、生産の一部は日本に移される。

米墨国境地域の日系マキラドーラ企業では、業績悪化に伴う人員削減、納入先企業の米国から中国への事業所シフトに連動した一部生産部門の中国へのシフトなど、一部に業容縮小の動きがあった。

 

 

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