
| アートと宗教の融合の場
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佐藤 由紀 |
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ヒューストン美術館に行かれた方は本館から新館に行く地下1階の不可思議な通路を通られたことを覚えていらっしゃると思います。通りの入り口と出口にある光のパーティション。通路の中も壁全体がピンクやブルー、バイオレットに時間と共に変化する幻想的な空間。これは光と空間のアーティストといわれるジェームズ・タレル(James Turrell)の作品です。今回はそのジェームズ・タレルがヒューストンに作った代表的な彼の作品、というか建物を紹介したいと思います。
それは610とEllaの近くにある「Sky Space」で、Live Oak Friends Meeting Houseというアートと宗教が融合する施設の中にあります。このMeeting House、本来はQuaker(クエーカー)という宗教の信者たちの集いの場です。タレル自身もクエーカー教徒であり、この集会場のデザインにかかわり、自分のアートを取り付けました。作品のテーマは“Meeting”(出会い、集い)。普段は宗教の集いの場だが、ここはアートの場所でもあり、毎週金曜の夕方に一般開放されています。宗教の勧誘などもないので安心して行ってみて下さい。
まず、部屋に入って行くと4つのベンチがそれぞれ正方に向き合っていてかつ何列かになっている。正方なので真ん中には空間ができ、その真上を見上げるとちょうど天井の一部が開いており(Sky Space)これまた正方形の形をしている。そこからは真っ青な空が見え、皆、頭を椅子の上に寝かせながら上を見たままだ。目を閉じている人もいる。誰も会話を交わさず、音もたてずシーンとしている。この正方形の青はまるでキャンバスのようだ。空が近い、、空が自分たちのところにまで降りてきたようだ。その青に白い雲が登場し、ゆっくり流れていく。その中、トンボが慌しく飛んでゆく、、、鳥もキャンバスを駆け抜ける。そしてその青に変化が起きる。少しピンクがかってくる。雲の縁もベビー・ピンクにオレンジになっていく。美しい。空が、宇宙が、こんなにも美しく変化してゆくなんて。印象派のモネはこうやって自然の、空の、光の、変わり目をじっくり見ながら絵を描いていったのだろうか。気がつくとだんだん暗くなり、ついには星もみえてくる、、1つ、2つ、3つ、、、と、数えているうちにキャンバスは真っ黒になってしまった。まるでひとつの映画が終わったようである。自然ってすばらしい、なんて感じながらこの1時間ほどのMeditationでいろいろ考えることができる。その日、その1週間のこと、未来のこと、人生のこと、、忙しく普段じっくりと自分を見つめる時間のない人にとっては絶好の場である。
タレルいわく「この空間はSilence(静寂)を作り出し、時間が経つにつれゆっくりと何かがDevelop(創造)されてゆく、、これは特に夕方時に起こり得る。」ということだ。また、この“Meeting” |
とは自己とその空間との“Meeting(接点)”であり、又、空の空間(スペース)との“Meeting(出会い)”とも関係している。空は遠い存在のものではなく、自分が座っている空間にまで近く持ってこられるのだ。 タレルの作品はすべて光と空間をテーマとしており、どれもとてもスピリチュアルである。実はアリゾナ州にもSky Spaceと同じコンセプトの施設を手がけており、その規模は何十倍にも及ぶ。40万年前の巨大噴火口“ローデンクレーター”に穴を空け、その中にいくつもの部屋とトンネルを作り、いろいろな「光」を体験できるようにデザインし、今もなおこのプロジェクトは進行中である。 アリゾナの“ローデンクレーター”見学は要予約だそうだが、ヒューストンのSky Spaceは予約不要で毎週金曜日の夕方に一般に開放される。空の変化が一番激しい日没30分前より入場できるので、事前にその日の日没時間を調べてから出かけて行った方がよいでしょう。プラネタリュームを訪れる感覚でこのSky Spaceへと出向いて行ってください。こんなシンプルな発想より生まれたアートから何か大きな感動がきっと得られるはずです。 事前にタレルのSky Spaceを体験したい方はホームページをご覧になってください。
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