大橋&ホーン法律事務所

大橋 弘昌 (大橋&ホーン法律事務所)

大橋&ホーン法律事務所は、今年の4月8日に私と米国人弁護士5人により設立された法律事務所です。このたびはガルフストリーム誌上に寄稿する機会をいただきましたので、当事務所について知っていただくべく、いくつかの設立以来の出来事や弁護士事務所の内幕(内幕とはやや大げさですが)等を紹介いたしたく思います。

 

5月のある日、当事務所のパートナーであるジェフホーンが、ダウンタウンの中をゆっくりと走っている観光客用の馬車を見て「That is me、バシャウマ」と言った。大阪に2年間住んでいたので日本語も話せる。自分をバシャウマと比喩するほどよく働く。4月15日に事務所を開設して以来、土日も含めて、ホーンが事務所に来なかった日は多分3日程度だろう。

 

ホーンの奥さんは、友人に相談をもちかけ「最近husbandが仕事が忙しいため家にいないことが多い」と不満を伝えた。その友人は「あなたのhusbandは浮気をしている」と言ったらしい。それがきっかけに夫婦関係が悪化。そんな事実はないことを知っているだけに、それはないんじゃないの?と会ったこともないその友人に憤りを感じてしまった。

 

ホーンは交渉が得意である。先日、日本のクライアントが米国人従業員に訴訟をするとクレイムを起こされた。法外な金額を要求している。ホーンは電話にて、訴訟を続けることの大変さ等について、懇々と諭した。「個人で訴訟を続けることは大変だぞ」「これから数年間、常に訴訟のことを考えて過ごすのか」「仮に勝てるとしても、2年後に勝つまで一銭も手に入らないぞ。そうだったら今日にでも手に入る○○ドルと引きかえに取り下げたらどうだ」「家族や子供にも苦労をかけるぞ」等。太陽にほえろのヤマさん(やや古い)ばりの説得だった。

 

当事務所の弁護士全員がダラスフォートワース地域のトップ10法律事務所の出身。いずれもトップレベルのリーガルサービスを提供してきた弁護士である。同じ大手事務所でも仕事の進め方や経営方法等が随分違う。それらのよい点だけを見習えば最高の法律事務所ができるはずと日頃話し合っている。

 

当事務所のオフカウンセルであるスコットマクドナルドは最近数ヶ月「主夫」だった。ガーディアウィンという大法律事務所に10年近くいたのだが、医者である奥さんとどちらが子供の面倒を見るか話し合い、自分が引き受けたそう。でもやはり弁護士業を再開したくなり、当事務所に参加。今も子供の面倒を見るためにたまに自宅勤務している。

 

4月の携帯電話の請求書が800ドルを超えた。へインズアンドブーン法律事務所を辞めてから新事務所を開設するまでの一週間、携帯電話で仕事をしていたため。びっくりして電話会社に連絡して交渉したら450ドルまで下がった。アメリカでは交渉した者勝ちだということを実感。その後あわてて加入プランも変更。

 

米国クライアントは、基本的に法務のことは弁護士に任せっぱなし。逆に日本クライアントは詳細を知りたがる傾向にある。私とすれば慣れているのだが、米国人弁護士からすればもっと信用して任せてほしいと感じるらしい。クライアントに対する説明義務について事務所内で議論になることもしばしば。

 

ニューヨークにも事務所を開設。家賃が高いため狭い個室で我慢。秘書サービスや会議室は他のテナントと共有するいわゆるエグゼクティブスイート。テキサスの広いスペースにスポイルされているので、やたら狭く感じる。

 

日本の上場企業の米国子会社の清算手続きをしているとき。当事務所の米国人弁護士には、株主である親会社から資金を送ってまで律儀に債務を全て支払ってから会社を閉鎖することが理解できないらしい。アメリカ企業なら「債務合計の20%しか払えないよ、破産手続きに入るよりましだよ、破産したら10%しか手に入らないよ」とか債権者に言って、全額払うことは殆どない。結局その子会社も米国流に方針変更。

 

ビザの仕事もよく舞い込む。ビザの仕事は、渡米できるか否か、米国に滞在できるか否かといった個人の生活にかかわる要素が多分にあるので、コーポレイトワークとは違った気を遣う。ちなみにビザが実際に取れてから請求書を送ることにしたら、とてもクライアントに喜ばれた。

 

 

8