フライフォーグル幸子

 

6月号でハイブリット・ティーの代表として、1945年にフランスのメイランド(Meilland)から作成された”ピース(Peace)”を紹介しました。直径15cmほどの大輪の花は、40から50枚の薄いレモンイエローにピンクの縁取りがなされた花弁でなりたち、軽めのフルーティな薔薇の香りで満ちています。花瓶にさしても長く楽しめる上にしかも四季咲きなので年間繰り返し咲きます。温度が高くなるとピンクの縁取りが多くなり、まるで別の種類のように見えるのも興味深いところです。現在もローズ・ショーに頻繁に出展されトロフィーをさらっていきます。枝はつやのある緑の葉で覆われ4ー5フィートの高さに上向きに成長します。AREレートも高く初心者にも育てやすい上、暑さ寒さに強いので、多くの南部の薔薇愛好家も約60年もの昔に作成されたこの薔薇を育て続けています。1967年には世界薔薇機構 (World Federation of Rose Societies) の殿堂入りを果たしました。

- Peace -

それにしてもなぜ”ピース”はこれほど有名なのでしょう?なぜ世界中で愛されているのでしょうか?美しく育てやすい薔薇と言ったら他にも山ほどあります。毎年、数百もの新種が出てくる薔薇の世界でどうして常にトップの位置に君臨し続けられたのでしょう?その秘密は名前に隠されています。

1935年、フランスのメイランドでピースの苗木は最初に#3−35−40と呼ばれていました。1939年にヨーロッパが戦火に包まれ始め、大事な薔薇の行く末を心配したメイランドはイタリア、ドイツ、アメリカの友人宛てに名無しの苗木を避難させることを思い付き、フランスがドイツの手に落ちる直前の便で送り出すことに成功しました。その後ヨーロッパ全土で第2次世界大戦の火の手が上がり、戦争中の5年間交信は全く遮断され苗木の消息を尋ねる術もありませんでした。

ドイツの無条件降伏で戦争の幕が閉じられた後、メイランドは友人に苗木はどうかと聞いたところ、ドイツでは ”Gloria Dei”、 イタリアでは ”Gioia”、 当地フランスでは亡き母に捧げて”Mme. A. meilland”としっかり育っているではありませんか。

アメリカで#3−35−40を紹介したコンラッド・パイル氏 (Conrad Pyle)はこの薔薇を”ピース (Peace)”、第2次世界大戦にちなみ平和への願いを込めて名づけました。ピースは1945年4月29日にベルリンが陥落した日に正式に紹介され、悲惨な戦争下でも人類の美を愛する心を示す例として特別な薔薇となったのです

 

ピースを植えるということはこの伝説と歴史の祈りを捧げるということなのです。

後にサン・フランシスコで国際連合が発足した際に、パシフィック・ローズ・ソサエティーは各国代表が滞在したホテルの全部屋にピースを飾り、平和の到来を祝福したのです。

ピースを使って交配された新種、また変種も数多く市場に出回っており、その数は約50種以上にも及びます。その中でも有名なものは以下の種類です。

Baby Peace, Baronne Edmond de Rothschild, Chicago Peace, Christian Dior, Confidence, Dame de Coeur, Flaming Peace, Guinevere, Halloween, Love and Peace, Marigold, Peace (Climber), Perfume Delight, Pink Peace, Princess de Monaco, Red Peace, Royal Highness

ところで園芸用品に”ARS推薦”とか、薔薇に”RIP Rate x.x”、”AARS”と銘打っているものがありますが、みなさんこれは何を意味しているかご存知ですか?

ARSとは ”American Rose Society” の略称で、薔薇を愛する人々で運営されており、薔薇の普及を目的とした非営利団体です。

RIPとは 20年程前からスタートされたプログラム、”Roses In Review”の略語で、アメリカ全土で5年間テスト栽培された育てやすさの結果を数字で表しています。

 

9.3-10.0 最高の薔薇

8.8-9.2  最優秀の薔薇

8.3-8.7 優秀な薔薇

7.8-8.2 なかなか良い薔薇

7.3-7.7 良い薔薇

6.8-7.2 平均な薔薇

6.1-6.7 平均以下の薔薇

6.0以下 推薦できない薔薇(難しい薔薇)

 

- Flaming Peace -

 

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